遺産分割について(その2)
1月 6日
みなさん,こんにちは。弁護士の福本昌教です。遺産分割についての投稿を続けます。今回は,遺産分割の主体(相続人の範囲)について,簡単にご説明します。
1 相続人とは
相続人とは,被相続人(亡くなった方のことです。)の相続財産を包括的に承継することができる一般的資格を持つ人のことです。相続人の範囲は民法によって定められており,被相続人の意思(生前の行為や遺言)によって相続人を創造することはできません。相続人は,大別すると血族相続人と配偶者相続人に分類されます。
2 血族相続人の順位
血族相続人には順位があります。先順位に位置する血族相続人が存在しないときに,はじめて後順位の血族相続人が相続人となります。
第1順位の血族相続人は,子です。
第2順位の血族相続人は,直系尊属です。「直系尊属」という難しい言葉が出てきましたので,少し説明しましょう。「直系」とは,二人の血族のいずれか一方が他方の子孫である(血縁が直下する形で連絡する)場合で,父母と子,祖父母と孫などのことです。「尊属」とは,親族のうち,自己又は配偶者の父祖及び父祖と同じ世代にある者をいいます。「直系尊属」とは,簡単にいえば,父母,祖父母(さらに上は曾祖父母,高祖父母)のことです。
第3順位の血族相続人は,兄弟姉妹です。
3 配偶者相続人
配偶者(ただし法律上の配偶者である必要があります。)は,血族相続人とは別に,常に血族相続人と並んで相続人となります。血族相続人がない場合,配偶者は,単独で相続人となります。
4 同時存在の原則
原則として,相続人は,被相続人死亡時に生存している必要があります。
例外として,①胎児の出生擬制,②代襲相続があります。
①胎児の出生擬制とは,相続の場合,胎児を特別に産まれたものとみなし,相続権を保障する制度です。
②代襲相続とは,相続開始以前に相続人となる者が死亡その他の事由で相続権を失った場合に,その者の直系卑属(子や孫のことです。)が,その者に代わって,その者の受けるべき相続分を相続することです。
今回は,相続人の範囲について,おおまかなご説明をしました。次回は,相続人の確定について,投稿したいと思います。