「婚姻費用の分担」について
8月 28日
早いもので子どもたちの夏休みも終わり,新学期に入っています。みなさん,いかがお過ごしでしょうか。弁護士の福本昌教です。
さて,今回は,「婚姻費用の分担」について,書き綴ってみたいと思います。
当事務所においては,離婚に関するご相談も多く受けております。
離婚事件の場合,当事者の出会いから婚姻を経て現在に至る経緯,離婚原因の有無,別居の有無・期間,未成年の子や未成熟子(経済的に自立できていない子のことです。)の有無,財産状況等を確認の上,親権者の指定,財産分与,慰謝料,養育費等について検討する必要があります。
と同時に,確認しなければならないのが,「婚姻費用の分担」についてです。
婚姻費用とは,夫婦と未成熟子を含めた婚姻共同生活の維持費用(もう少し簡単にいうと衣食住の生活費や子の教育費などのことです。)をいいますが,離婚事件を扱っていると,婚姻費用の分担をも問題とすべき事案に多々遭遇します。
たとえば「一家の大黒柱であり経済的に一家を支えていた夫が家を出て行ってしまい,残された妻子には収入が乏しい」というような事案の場合,妻としては,離婚の検討もさることながら,まずは,別居中の夫に対し,婚姻費用の分担を求め,自身と子の生計を維持する(簡単にいうと別居している夫に自分と子の生活費・教育費等を毎月支払ってもらう)必要があります。
婚姻費用の分担義務については,民法760条に根拠規定がありますが,具体的な金額について一義的な定めはなく,基本的には当事者の合意によって決められます。すなわち,まずは当事者間で協議を行い,協議で定まらなければ,裁判所に調停・審判を申し立てることになります。
なお,婚姻費用の算定については,東京家庭裁判所のホームページ内にある「養育費・婚姻費用算定表」(←このワードで検索するとヒットします。)が参考となりますので,婚姻費用の分担請求をお考えの方は,ご一読されるとよいでしょう。
さて,今回なぜ婚姻費用の分担について取り上げたかというと,「離婚を検討している」とご相談にいらっしゃる方は多いのですが,法律相談をしてみると,「婚姻費用の分担請求について初めて知った」という方が比較的多いような気がしたので,ご参考までに婚姻費用の分担に触れてみた次第です。
なお,当職も弁護士になる前のサラリーマン時代には「婚姻費用」という言葉さえ知りませんでしたが。。。
婚姻費用の分担請求については,個別の案件により,請求額に差違が生じますで,離婚を含め請求をご検討される方は当事務所へお気軽にご相談ください(また最後に当事務所の宣伝を入れてしました。。。)。
(写真は,当事務所相談室)