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福本法律事務所 スタッフブログ

遺産分割について(その5)

8月 28日

 みなさん,こんにちは。弁護士の福本昌教です。前回に続き,今回は遺産の範囲と分割の対象について,簡単にご説明します。

 

1 概要
 相続人は,被相続人の一身に専属する権利を除き,相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。したがって,被相続人の権利義務は原則として相続され,遺産分割の対象となります。
 しかし,相続の対象となる遺産がすべて遺産分割の対象となるわけではありません。遺産共有の法的性質や遺産分割の性格,機能等から,遺産のうち遺産分割の対象から除かれるものがあります。
 また,遺産ではないが,遺産分割の対象としてよいかどうかが問題となるものもあります。
 すなわち,遺産の範囲と遺産分割の対象となる財産の範囲とは必ずしも一致するものではないのです。

2 相続財産に属さない財産・権利
 被相続人の財産の中には,相続人に承継されないものがあります。これを一身専属権といいます。たとえば,使用貸借における借主の地位,雇用契約上の地位,組合の地位,生活保護法に基づく保護受給権などが挙げられます。
 また,祭祀財産(系譜,祭具及び墳墓の所有権)は,祭祀の主宰者が承継するため,相続人には承継されません。

3 不動産
 不動産(土地建物)は,遺産分割の対象となります。
 不動産賃借権も遺産分割の対象となります。
 遺産の共有持分権も遺産分割の対象となります。

4 預貯金債権
 (判例変更により)遺産分割の対象となります。

5 現金
 遺産分割の対象となります。

6 損害賠償請求権等
 預貯金以外の金銭債権は,相続の対象とはなりますが,合意がない限り遺産分割の対象とはなりません(相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されます。)。

7 その他の積極財産
 生命保険金,死亡退職金については,相続財産に含まれるか否かという点で,個別の事例ごとに検討が必要となります。

8 金銭債務(負債)
 相続により当然に各相続人に相続分に応じて承継されるため,遺産分割の対象とはなりません。

 

 ここまでの投稿で相続人,遺産の範囲と分割の対象について簡単にご説明しました。そもそも遺産分割とは,被相続人が死亡時に有していた財産(遺産)について,個々の相続財産の権利者を確定させる手続であり,共同相続の場合には,相続分に従って各相続人の単独所有にするなど,終局的な帰属を確定させる手続ですから,ここまでの投稿で遺産分割の前提はご説明できたかと思います。
 次回以降では,相続分算定における修正要素として,特別受益と寄与分について,簡単にご説明したいと思います。

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